剛ちゃん

　
ハートのエースが出てこない。
最近人の名前も出てこない。
涙腺も緩くなった気がする。
認知症の初期症状かな。
便利なこともある。
言い訳にとても役立つ。
聞きたくない事は「聞こえないふり」
言いたくない事は「忘れたふり」
見たくない事は「見えないふり」
→そりゃーもう便利便利（へへっ）
認知症はかつて「痴呆症」や「ボケ」と言われていた。
１９７２年、有吉佐和子が認知症の老人問題を描いた「恍惚の人」を書き下ろした。
高齢化社会がまだ身近でない時代にその社会派小説は異彩を放った。
年を取ると大変なんだ、と思っていたら自分がもう認知症一歩手前である。
先日、あるホームで従業員主演の寸劇をテレビで紹介していた。
内容は認知症老人とのどたばた喜劇である。
徘徊などの問題を起こす元気で口の達者な老人との悲喜こもごもの寸劇である。
劇後半に、認知症の人が正常であった時に家族へ書いた作文が偶然見つかる。
およそ次のような内容だった。
「年老いた私がある日、今までの私と違っていても、
どうかそのままの私のことを理解して欲しい。
あなたの人生の始まりに私がしっかりと付き添ったように、
私の人生の終わりに少しだけ付き添って欲しい。
辛く当たる言葉は病気が私に言わしているのです。
私が病気になる前のころを思い出して下さい。
あなた達をいつまでも愛しています。私の子供たちへ。」
観客はみんな泣いていた、不覚にも自分も目頭を押さえた。

私の母は今、大分の実家に８４歳と言う高齢で一人住まいである。
何もしてあげれることの出来ない自分を責めたりする。
電話をかけよう、そして今度帰って足や手の爪を優しく切ろう。