剛ちゃん

雑学や小話３７

ノーベル平和賞
２００９年１０月　
　
アメリカのオバマ大統領がノーベル平和賞を貰う。（２００９年）
核なき世界を世界に訴えたから？
演説中で使われる「核」は原爆や水爆の核を意味している。
原子力発電も核エネルギーを使っている。
二酸化炭素を出さず、地球温暖化を防ぐエネルギー源の
一見クリーンなイメージがある。
　さて、原子力発電所の生い立ちについて少し考えてみよう。
自然界に存在する最も重い元素はウランである。
第二次世界大戦中、ドイツはウランが核分裂を起こすことを発見した。
反ユダヤのナチスが原子爆弾を製造することを恐れたアインシュタインらは
アメリカに亡命した。そしてルーズベルト大統領にドイツより先に
原子爆弾をつくるように訴えた。いわゆるマンハッタン計画である。
ところが、原子爆弾ができたらドイツは降伏していた。
そこでトルーマンは有色人種の日本に原爆を落としたのだ。
　広島に投下されたウラン型原爆はウラン２３５が原料である。
ウラン２３５は天然ウランの中に０．７％しか存在しない。
ウラン２３８との分離が困難であるが、爆発させるのは比較的簡単である。
アメリカは爆破実験することなくＢ２９エノラ・ゲイからリトルボーイを投下した。
　次に長崎に投下されたプルトニウム型原爆は天然ウランの
なかの残り９９．３％に含まれるウラン２３８が原料である。
ウラン２３８を原子炉で燃焼させると炉中にプルトニウムができる。
式で表すと、ウラン２３８＋中性子＝プルトニウム２３９
フェルミらは原子炉を使ってプルトニウムを人工的に造った。
プルトニウム型原爆は爆発させるのがむづかしい。　→雑学や小話５６の臨界量
爆縮方式という特殊な爆薬の配置が必要となる。
アメリカはプルトニウム型原爆を２個製造し、一個を
ニューメキシコ州の無人地帯で爆破テストをして成功する。
その後、残った一個のファットマンをＢ２９ボックス・カーから長崎に投下したのだ。
その日天気が良かったら小倉に落とすつもりであった。
なお、戦争が終わりビキニ環礁で水爆の爆破実験をしている。
少し回り道をしたが、
原子炉（原子力発電）は初めプルトニウムを製造するために
製造されたという事実である。
プルトニウム製造後の副産物として捨てていた水蒸気を
ついでに発電に利用しようとする発想にすぎなかった。
原子力発電出生の秘密は極めて忌まわしいものだった。
原子力発電はプルトニウムの製造とイコールである。
プルトニウムが出来るということは原爆の原料ができるということ。
現在の原爆はほとんどがプルトニウム型原爆だそうだ。
今、オバマ大統領が核なき世界を本気で目指すのなら、
広島・長崎を一度でも訪問すべきであろう。
「原爆は百万人もの米兵の命を救った」と言い訳している国には
到底かなわぬことだろうが。
追記：２０１６年５月２７日、オバマ大統領はＧ７外相会議に合わせて広島を訪問した。
■おまけ１
ノーベルは工事用にダイナマイトを発明したが、兵器に転用されることを歎いた。
アインシュタインは原子爆弾を製造したが、その想像を超えた破壊力を見て
使用を好まなかった。
しかし一部の科学者・軍人・政治家・時代が核の日本への使用や
その後の拡大を産んだ。
■おまけ２
原子力発電所の寿命がきて日本でも解体をする時期になった。
原子炉は発電を終えても永遠に中性子をまき散らす。
どんなに地中深く埋めてもその上には誰も住みたくはないはずだ。
■おまけ３
科学は人類にダイナマイト、薬、乗り物、等の様々な恩恵を与えた。
しかし、兵器として、爆弾、生物兵器、毒ガス、戦車などに応用される。
これらは結果として科学が悪用されたとみるべきである。
科学者は物事の真理や法則を知ろうと、純粋な気持ちで研究したと思いたい。
さて、マンハッタン計画の科学者達はどうだろう。
大量殺人兵器を作るのを最初から目的としていた。
ドイツに対する恐怖から原爆を製造しようとする気持ちは分からないでもない。
しかし、政治主導・軍の監視下で大量殺人兵器（原爆）を完成させようと
研究する科学者は一体どんな顔をして毎日を過ごしていたのだろう。
鉄条網に囲まれたロスアラモス研究所の向こう側は見えなかったのか見なかったのか。
それとも自然法則の研究に没頭できる環境に満足していただけなのだろうか。
当然、製造後の原爆使用不使用決定に科学者は一切の権利も持っていなかった。
■おまけ４
福岡市中央区に九州エネルギー館がある。（２０１４年３月３日に閉館）
原子炉の実物大模型で安全性をアピールする。
振りかえると人類が初めて完成させた原子炉の実物大模型がある。
フェルミらがマンハッタン計画で設計した「シカゴ・パイル１号」である。
炉内では長崎に投下された原爆材料プルトニウムの製造方法が確認された。
ゲバラ
２０１７年２月
　
２０１５年７月２０日、アメリカとキューバは１９６１年以来の国交断裂を回復した。
２０１６年３月２１日、オバマ大統領がキューバを訪問し、
ラウル・カストロ国家評議会議長と会談した。
ラウル・カストロ議長は革命家フィデル・カストロ（2016.11.26死去）の弟である。
■キューバの歴史
１．スペインに侵略され原住民は虐殺された。（公用語はスペイン語）
２．さとうきび生産のためにアフリカ系黒人を奴隷として連行した。
３．スペインは米西戦争で主権をアメリカに奪われる。
４．キューバ革命で当時アメリカの傀儡政権であるバティスタ政権を
　　フィデル・カストロが倒し、社会主義国家を樹立した。
５．ソビエトがキューバに核ミサイルを配備しようとしてキューバ危機が勃発する。
　　（当時、ソビエトの指導者はフルシチョフ、アメリカはケネディ）
■ゲバラ

アルゼンチンの裕福な家庭で生まれた革命家であり、医者でもある。
キューバ革命をカストロと共に戦ったのがチェ・ゲバラである。
キューバ革命はゲバラのゲリラ戦により成功した。
革命が終わると、キューバ代表として国連総会に出席した。
そこで経済制裁をするアメリカ帝国主義を批判した。
その後、現実主義のカストロ首相と理想主義のゲバラはそりが合わなくなる。
ゲバラは「別れの手紙」をカストロに送りキューバを去った。
革命家としてアフリカのコンゴにそしてボリビアのゲリラ戦に身を投じた。
最後はボリビアで政府軍に捕まり、銃殺される。

インテリでもあるゲバラは真のカリスマである。
南米では永遠のヒーローである。
一方、頑固で融通がきかず猪突猛進し紛争を巻き起こすと嫌われもした。

ゲバラはキューバ使節団の団長として来日している。（１９５９年７月）
この時、広島の原爆資料館に行き、
「日本人はアメリカにこれほど残虐な目にあわされて腹が立たないのか」と言った。

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